皆さんはお口の健康を意識されていますか?
お口は身体への入り口です。近年では、お口の中の細菌環境が腸内細菌に影響を与えることがわかっています。
また歯周病が糖尿病や高血圧、心疾患や早産などのリスク因子であるともされ、お口の健康は全身の健康に深く結びついています。
お口の健康を保つには日々のセルフケアが欠かせません!
今回はお口の健康を維持するために大切なセルフケアについて、むし歯予防に焦点を当ててお伝えします。
プラークコントロールの大切さ
プラークとは
歯ブラシのCMなどでプラークという言葉を聞く機会も多くありますよね。歯垢とも呼ばれています。
プラーク(歯垢)とは歯の表面に付いた黄白色のネバネバした付着物で、細菌の塊です。
プラーク1mg中には300種類以上、約10億個もの細菌が含まれていると言われています。
その中にはむし歯や歯周病の原因となる菌が含まれています。
プラークコントロールに必要なこと
お口の中の健康を保つためには、お口の中の細菌の数を減らすプラークコントロールは欠かせません。プラークは歯面にネバネバとくっついているため、うがいでは除去できません。歯磨きで機械的に除去する必要があります。
プラークが硬くなった歯石は歯磨きでは除去できないため、歯科医院で除去する必要がありますが、もっとも大切なのは日々の歯磨きでしっかりとプラークを除去することです。
毎日磨いているつもりでも、意外とプラークを除去できていないことも多いです。
ぜひ歯科医院で正しい歯磨きの仕方を学びましょう!
歯磨きに使用する器具
歯ブラシ
皆さん毎日使う歯ブラシは、どのように選んでいますか?
毛の固さやヘッドの大きさ、まっすぐの持ち手や曲がったものなどたくさんの歯ブラシが売っています。
どのような歯ブラシが適するかは、お口の大きさや歯並びによって異なります。
お口に合った歯ブラシを歯科医院で歯科衛生士に選んでもらいましょう。
フロス
歯ブラシだけではプラークは60%ほどしか除去できないと言われています。歯と歯の間の汚れに歯ブラシの毛先が届かないためです。
フロスを使うことで、プラークの除去率は80~90%になります。
歯と歯の間はむし歯になっても気が付きにくい場所。歯磨きの時はフロスもセットで行いましょう!
歯間ブラシ
歯と歯の間の隙間が大きかったり、歯ぐきが下がって歯の根が見えてきている方は歯間ブラシの利用も効果的です。歯間ブラシを使用することで、効果的に歯ぐき周りの汚れを落とすことができます。
歯間ブラシにはサイズが色々あるため、最適なサイズを選んでもらいましょう!
フッ化物の効果的な利用
歯磨きをどんなに頑張ってもむし歯を完全に予防することができません。
むし歯予防に大切なのが、フッ化物の効果的な利用です。
フッ化物の作用
フッ化物には3つの作用があります。
① 歯の表面を強くして歯が溶けにくくし、むし歯になりにくくする
② むし歯菌の働きを弱め、酸を出しにくくする
③ 歯の再石灰化を促進する
フッ化物の使い方
ご自宅でのセルフケアで最も使いやすいのはフッ化物入りの歯みがき粉を使うことです。
現在市販の歯みがき粉の多くにはフッ化物が含まれています。しかし、フッ化物濃度は商品によって様々です。
成人の方は1400~1500ppmのフッ化物入りの歯みがき粉を使うことが推奨されています。
歯みがき粉後はフッ化物がお口の中にとどまるよう、うがいをしすぎないことも大切です。
お子さんの場合は推奨濃度や使用量が年齢で異なりますので、歯科医院でご相談ください。
食習慣に注意
最後に、お口の健康を保つためにとても大切なことが食習慣です。
お口の中に糖分がある時間が長かったり、糖分を摂取する回数が多いと歯が溶かされる時間が長くなります。
砂糖入りの飲み物や食べ物をだらだら食べたり、歯にくっつきやすいお菓子を食べる、寝る前の飲食などはむし歯のリスクを高め、口の中をむし歯菌が増えやすい環境にしていきます。
近年、砂糖の取りすぎは様々な全身疾患に悪影響を及ぼすと言われています。
シュガーコントロールはお口の健康だけでなく、全身の健康のためにとても大切なことです。
まとめ
皆さんは歯磨きの仕方を習ったことはありますか?プラークが染まる液を付けてみると、予想以上に歯磨きでプラークが除去できていないことに皆さん驚きます。
定期的に歯科医院に通っていても、日々のセルフケアがおろそかになるとお口の健康は保てません。
まずは毎日の歯磨きやフッ化物の適切な利用、そして食生活が大切です!
ご自身に合ったセルフケアをぜひ歯科医院でご相談ください。
ご自身ではケアしきれない部分を定期的に歯科医院でケアしていくことで、効率的な改善が見込めます。
お口の健康を保つことは全身の健康にもつながります。この機会にお口への意識を高め、健康寿命を延ばしましょう!