歯科医院でむし歯の治療が終わったら、今後は定期的に検診に来てくださいね。と言われますよね。
皆さんは、お口の中に気になることがなくても歯科医院に定期検診に行っていますか?
日本では、まだまだ痛い時や詰め物が外れた時だけ歯科医院に行く、という方も多いですよね。
今回は定期検診でどのようなことをするのか、なぜ定期検診が大切なのかについてご説明します!
定期検診でどのようなことをするのか
むし歯・歯周病のチェック
定期検診でまず行うことはむし歯の有無や歯周病の進行状況のチェックです。
むし歯は痛みなどの症状が出てからだとかなり進行してしまっています。むし歯が進行して、神経をとる治療が必要になると歯の寿命はかなり短くなります。症状が出ない初期のうちに早期発見・早期治療することで、歯の寿命を延ばすことができます。
また、歯周病はサイレントディジーズ(静かなる病気)と呼ばれるように、初期は自覚症状が少ない病気です。歯周病が進行し、歯ぐきの骨が溶けてしまうとそれを再生することは非常に困難です。定期的に歯ぐきの状態を検査し、良い口腔内環境を保つことで歯周病の進行を防ぐことができます。
歯石の除去
日頃から歯磨きに気を使っていても、歯石が付きやすい下の前歯の裏側などはどうしても歯石がたまってしまいます。歯石がたまるとその部分がざらざらしてプラークがたまりやすくなります。
歯石を定期的に除去し、つるつるの歯を保つことで歯磨きもしやすくなり歯周病予防につながります。
プラークバイオフィルムの除去
歯磨きを頑張っても100%の汚れを除去することは難しいです。
残ったプラークを赤く染め出す染め出し液を使ったことがある方はイメージが付きやすいと思いますが、しっかり磨いたつもりでも2〜3割の磨き残しがある方がほとんどです。
磨きにくい場所、プラークのたまりやすい場所は決まっているためその部分はむし歯になってしまったり、歯周病が進行しやすくなります。
汚れが残りやすい場所をプロケアでしっかりきれいにしていきます。
噛み合わせのチェック
自分の歯や詰め物、被せ物は使用していると自然とすり減ってきます。
そうすると噛み合わせも変化してくるので、今まで大丈夫だったのに強く当たってくることもあります。
むし歯や歯周病でもないのに噛むと痛いといった経験はありませんか?
これを放置すると歯が欠けたり、詰め物、被せ物が取れたり、場合によっては歯がぐらぐらと揺れてきたり、割れてしまうこともあります。
また知覚過敏の原因にもなります。
これらを防ぐために“咬合調整”と呼ばれる噛み合わせの調整をします。
また歯ぎしりや食いしばりのある人にはマウスピースの提案をしたりします。
お口の中の汚れのチェックも大切ですが、力のコントロールをすることも同じくらい大事なのです。
フッ化物の塗布
お口の健康のため、むし歯予防に大切なのは歯磨きだけではありません。
むし歯予防に大きな役割を果たすのが、フッ化物の効果的な使用です。
毎日の歯磨きでフッ素入り歯みがき粉を使っている方は多いですよね。
実は、歯みがき粉の量や磨く時間、お口のすすぎ方にもフッ化物を効果的に作用させるポイントがあります。
歯科医院の定期検診では、歯みがき粉に入っているよりもより高濃度のフッ素塗布を行います。
ホームケアを合わせて行うことで、より効果が期待できます。
その他異常がないかチェック
定期検診で見るのは、むし歯や歯周病だけではありません。お口の中の粘膜や舌に異常がないかもチェックします。
口腔癌という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
実はお口の中にも癌ができるのです。なかなか治らない口内炎だと思っていたら癌だった、ということも。
歯や歯ぐきを診るのと同じように、お口の粘膜や舌を診ることもまた大切なことです。
なぜ定期検診が大切なのか
学校では、毎年歯科検診があったと思います。しかし、大人になると健康診断に歯科検診が入っていることはほとんどありません。
特に気になることがなければ10年単位で歯科に行っていないという方も少なくありません。しかし症状がなくても、むし歯や歯周病は進行している場合が多くあります。
症状が出てから歯科医院に行くと、治療に時間がかかったり場合によっては歯を抜かなくてはいけなくなることもあります。
定期検診や定期的なクリーニングを習慣化することによって良いお口の状態を保ち、むし歯・歯周病の予防はもちろん、治療が必要な場合には早期に治療を行うことが大切です。
そしてそれが皆さんの全身の健康につながります。
定期検診の頻度
歯科医院での定期検診の頻度は3〜4か月に1回、半年に1回、など様々です。これはお口の状況は人それぞれのため同じではないのです。
歯科医院によっても様々ですが、当院ではむし歯や歯周病のリスクが高い方は2〜3か月に1回、低い方でも半年に1回を推奨しています。
もちろん希望をされ、毎月通って下さる熱心な方もいらっしゃいます。
定期的に歯科を受診することで、結果的にお口や全身の健康につながり医療費が抑えられるという研究結果もあります。
ぜひ歯科での定期検診を習慣づけましょう!
まとめ
8020という言葉を聞いたことがあるでしょうか?80歳になったときに20本以上自分の歯を残しましょう、という取り組みです。
令和4年の調査では、8020達成者率は51.6%でした。これは年々増えています。
しかし、今でもおよそ半数の人が80歳で自分の歯が20本以下しかないということでもあるのです。
近年お口の健康が全身の健康に大きくかかわることがよく知られるようになってきました。
お口の健康を維持するためには、日々のセルフケアと歯科医院での定期的な検診が欠かせません。
かかりつけのクリニックを持つことは大切です。ぜひお気軽に歯科医院にいらしてください!