妊娠中の食事と口の関係
妊娠中には食べた方が良いものと避けた方が良いものがあります。
妊娠中の母体の悪影響は子供にも影響を及ぼすことが考えられます。
母体と胎児の間には胎盤があり、胎盤には不必要なものをバリアする機能がありますが、胎盤を通過するような物質や薬なども存在します。
妊娠中において避けるべきものなどはしっかりと覚えておくのが良いでしょう。
妊娠中の食事で積極的に摂るべきもの
妊娠中に摂るべき栄養素はいくつかあります。
代表例が葉酸、鉄、カルシウムです。
この中で葉酸は馴染みがないかもしれません。葉酸はビタミンB群に含まれる水溶性のビタミンです。
野菜や果物にも含まれていますが、不足分はサプリメントで補うこともあるかもしれません。
歯科との関連として、唇顎口蓋裂が挙げられます。
唇顎口蓋裂は鼻の下の人中と上唇、口の中の口蓋が裂けて開いてしまっている状態になります。
胎児の発生過程において起きてしまう先天的な疾患ですが、葉酸が関係していることが示唆されています。
妊娠中は葉酸を十分に摂るように心がけましょう。
妊娠中の食事で摂るべきではないもの
妊娠中の方で気をつけるべきなのは食中毒です。
刺身、生肉、生卵に代表される生物が挙げられます。
また、アルコールも摂取すべきではありません。
アルコールは胎盤通過性があり、低体重児や胎児の脳への悪影響も考えられます。
どうしても飲みたい場合には、ノンアルコールのビールやワインなどに切り替えるようにしましょう。
妊娠中の食事で摂取量に気をつけるべきもの
生物やアルコールよりも制限はキツくありませんが、摂取量を抑えるべきものもあります。
ビタミンAは脂溶性のビタミンですが、過剰に摂ると胎児の形態異常、器官形成異常が起こることが知られています。
レバーやウナギなどに多く含まれています。
その他にカフェインも量に注意が必要です。低体重児のリスクが上がると考えられているからです。
妊娠中の口の中
妊娠中はつわりなど体の変化から口の中が衛生的に保ちにくくなり、歯肉炎や虫歯を発症しやすいことがあります。
特に歯科で有名なのが妊娠性の歯肉炎です。
女性ホルモンとそのホルモンを栄養源とする細菌がいるため歯肉炎になりやすいのです。
歯肉炎は進行すると歯周炎に悪化します。
歯周炎は早産や低体重児のリスクが高いことが知られているため侮れない疾患です。
その他、親知らず付近が炎症を起こす智歯周囲炎も起こりやすいです。
口の中の環境変化や歯ブラシが行き届きにくくなることが原因です。
妊娠中の歯科治療
妊娠中は歯科治療に制限がかかりやすくなることはご存知でしょうか。
特に妊娠初期と後期は母体と胎児への負担を考え、応急処置になってしまうことが多いです。
したがって、処置を行う場合には妊娠中期(妊娠5ヶ月から7ヶ月程度)がお勧めです。
しかし、その期間でも長時間の治療は難しいです。
小さな虫歯治療など短時間であれば問題ないと思われます。
妊娠中の口腔環境の整え方
つわりが強い方は歯ブラシを口に入れるだけで吐き気が出てしまうこともあります。
このような状態では満足に歯磨きができません。
磨けない状態が続くと虫歯や歯肉炎になりやすくなってしまいます。
歯磨きをする際の姿勢を変えてみる、歯ブラシのサイズを小さくする、洗口剤を併用してみるなど歯磨きがしっかりできない時にはできることから行い、工夫をしてお口の環境を整えるようにしてみましょう。
妊産婦の歯と子供への影響
妊産婦の口の中の状態が遺伝的にそのまま全て子供に反映されることは考えにくいです。
しかし、保護者の口に対する向き合い方や考え方は子供に反映されやすいでしょう。
口の中に無頓着であれば、それは子供にも引き継がれやすいと言えます。
それは食習慣にも影響されます。
子供が喜ぶからとジュースやお菓子を時間を決めずにダラダラと与えるとどうなるかは想像するに難しくありません。
虫歯菌はどこから来るのか
生まれたばかりの子供には虫歯に関係する菌は口の中にはいないと言われています。
ではいつの時期から口の中に虫歯菌がいるようになるのでしょうか。
感染の窓と言われる時期に大人から子供に感染を起こし、虫歯の菌が子供にも定着すると言われています。
これは1歳半から2歳半ごろを指します。
食事の際に食器を共有することや食べ物を共有することなどから感染を起こします。
つまり周りの大人のお口の環境に影響されると言えますので、みんなでお口のケアを心がけることが大切です。
妊娠中の食事と口や歯への影響
妊娠中は食べつわりを起こすことがあります。
過食になることがあり、母体の体重増加もありますが、口の中の環境も悪くなりがちです。
時間を決めた食事になりにくくなり、口の中が常に糖や酸が多い環境になります。
また、胃のムカつきから逆流性食道炎のような状態になることもあります。
胃酸は酸度が非常に高く、歯にとってダメージが大きいです。
慢性的な場合には歯の表面が酸により溶かされてしまうこともあります。
水やお茶で口をすすいだり、可能であれば歯磨きをするなどして対策しましょう。
まとめ
妊娠中に避けたい食べ物と歯の健康について確認してきました。
妊娠中は食事やホルモンバランスの乱れなどから口の環境が変わりやすく、歯や歯肉にダメージが蓄積されやすい状態になりやすいです。
つわりなどがあればそれに拍車がかかります。
口の環境を整えるには歯磨きが大事ですが、難しければ個人に合った対策を考えましょう。
もし、治療が必要な場合には妊娠中期に行うようにしましょう。
ただし、妊娠中の治療は制限がかかりやすくなります。
そのため日頃のケアや定期検診が非常に重要となります。