フッ素とは何か
フッ化物塗布を小児などに行う場面は今日では非常に多くなってきています。
フッ素は天然に存在する元素の一つです。
微量ではありますが食品にもフッ素は含まれています。
フッ素はフッ化物として歯科の予防として用いられていますが、どのように、またどの程度の濃度で使用しているか確認してみましょう。
そしてフッ化物を応用した予防に対しての知識を深めましょう。
フッ化物は危険?
フッ化物を過剰に摂取するとどのような危険があるでしょうか?
フッ化物を過剰に摂取することにより歯のフッ素症(斑状歯)や骨のフッ素症が起こることが知られています。
また、短時間に多量に摂取してしまうと急性中毒になる場合もあります。
しかし、これは一定の基準を超えた過剰量を摂取した場合に限られます。
フッ素に限った話ではなくどのような栄養素も多すぎても少なすぎても体には良くありません。
フッ化物だから危険ということではないので、心配しすぎる必要性はありません。
決められた量を使用して予防に役立てることが肝要です。
フッ化物の応用
フッ化物は歯科においては歯面塗布や洗口、歯磨き粉などに使用されています。
水道水にフッ化物を添加して齲蝕を予防している国もあります。
どのような使用方法でも使用する濃度は決められています。
日本でも一定期間フッ化物を水道水に添加する実験を行ったことがありました。
しかし、色々な事情があり普及せず今日に至ります。
フッ化物には有機フッ素化合物と無機フッ素化合物が存在します。
前者は工業利用され、河川などに高濃度に検出された時にニュースになる場合があります。
これは、環境中の残留や健康影響の懸念から規制されている物質です。
歯科では後者の無機フッ素化合物が使用されており、両者は全く別物です。
歯科におけるフッ化物応用
フッ化物応用による虫歯の予防は歯科では高頻度で行われることです。
特に乳歯時期や永久歯が生えた直ぐは虫歯になりやすいため、フッ化物を使用する場面が多いです。
フッ化物の使用はどのような作用があるのか、また使用例を確認してみましょう。
フッ化物使用による歯の反応
歯の最表層のエナメル質はハイドロキシアパタイトという結晶構造を持っています。
ハイドロキシアパタイトは酸に弱い性質があります。
これにより、虫歯の菌が産生する酸に反応し虫歯を引き起こしてしまいます。
フッ化物を歯に反応させるとハイドロキシアパタイトという結晶構造がフルオロアパタイトという結晶に変わります。
これにより酸に対して抵抗を持つようになります。
また、フッ化物は再石灰化を促す働きがあります。
これは一度溶けかかった歯(脱灰した歯)の部位の修復を行う働きがあります。
その他にフッ化物は細菌の塊であるプラーク中に取り込まれると細菌の酸産生を抑制する働きがあります。
フッ化物使用の使用例
歯科医院においてフッ化物が用いられる場合は歯面塗布が多いと思います。
濃度は2%(9000ppm)です。
薬品名としてはリン酸酸性フッ化ナトリウムやフッ化ナトリウムが主です。
歯磨き粉にはモノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウムが用いられていることが多いです。
日本では濃度として1450ppmが上限です。
海外製品はそれ以上のものも存在します。
フッ化物が含まれた歯磨剤の応用は2歳ごろから使用することも量によっては可能です。
3~5歳では使用料をやや増やして使用します。
厚生労働省のホームページ(eーヘルスネット)でも使用方法は掲載されています。
フッ素の効果的な配合量について
フッ素は前述の通り年齢や量、使用方法によって薬にもなり毒にもなり得ます。
したがって、効果的なフッ化物の配合量は一定ではありません。
使用する方法と使用される人の年齢によって異なります。
また、どれか一つだけの予防法だけでなく複数を組み合わせて行うことにより、効果を維持強化させることが望ましいです。
例えばフッ化物配合の歯磨剤の使用は2歳程度であれば、1000ppm程度の濃度で使用量は歯ブラシの先1から2ミリ程度を使用することが良いと思われます。
フッ化物洗口はうがいが出来ない時期には使用しない方が安全でしょう。
3~5歳程度であれば歯磨き粉の使用量は歯ブラシの毛先5ミリ程度に増やしましょう。
フッ化物洗口はできるようになれば併用することも検討しましょう。
6歳以上であれば大人と変わらない1400から1500ppm程度の濃度を使用し、歯ブラシの毛先全体に歯磨き粉をつけて歯磨きをする方が効果的です。
また歯科医院で応用することが多いフッ化物歯面塗布の薬剤の濃度は9000ppmです。
歯磨剤と比較してかなり濃度が高く心配になるかもしれませんが、使用する薬剤をチューブごと飲むようなことがなければ中毒になる可能性はまずありません。
組み合わせることによってフッ化物の効果を期待できるでしょう。
まとめ
フッ化物の効果的な配合量について確認してきました。
フッ化物は他の薬と同じで使用量によって、歯に効果的に働く反面使用量を間違えると毒にもなり得ます。
しかし、そのような悪影響が起こることは使用する量が過多にならなければ心配ないでしょう。
普段使用している量で中毒になることはありません。
適切に使用し予防に活かすようにすることが重要です。
またフッ化物歯面塗布に使用する高濃度のフッ化物は家庭では購入できませんので、虫歯の確認も含めて定期的に歯科医院にて予防処置を受けるようにしましょう。