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歯周病の原因を知り、予防に取り組もう!

歯周病とは?

歯周病とは、歯の周りの骨が溶けてしまう病気です。歯と骨の間には歯周ポケットがあります。歯周ポケットとは、歯と歯茎の間の溝が深くなり、ポケット状になっていることが名前の由来です。歯周病は歯周ポケットの病気ともいわれます。歯周ポケットの状態を確認するのに深さを測ることがよく行われます。その深さは、目盛りの付いたポケット探針で測ります。健康な状態であれば歯周ポケットは3mm以内です。45mmだと初期の歯周病、6mm以上で進行した歯周病と判断しています。6mm以上では重度の歯周病で、歯を支える骨が溶けて無くなっています。またポケット探針で触った際、歯周ポケットから出血があれば歯周病になっていると判断されます。

 

 

<歯垢と歯周病>

歯垢(プラークともいいます)は、食べかすと似ています。ただの汚れではなく、細菌を含んでいます。粘着性が強く、お口をすすいだ程度ではなかなか取れません。歯周ポケットの内部に歯垢が溜まると、酸素の少ない環境(嫌気性環境といいます)のもと、歯周病の原因菌が生息しやすくなります。歯周病の原因菌は、歯周ポケットの周りのタンパク質を溶かす酵素を作り出します。歯周ポケットの周りが溶かされるのを防御しようと、これらの細菌・酵素を排除しようとする防御反応の過程で歯茎に炎症が生じます。歯垢が除去されず、細菌が歯周ポケットの内部に残っていると炎症が慢性化してしまいます。慢性化した炎症は、また歯茎自身の破壊を引き起こすため、歯周病は更に進行します。歯周病の原因菌の栄養源は、歯周ポケットに浸み出してくる血清由来の液ですが、炎症があると炎症性の浸出液や出血した血液なども栄養源になります。

 

<バイオフィルム感染症>

歯周病は、バイオフィルム感染症です。歯周病は、歯と歯茎の間にある歯周ポケット内に形成されるバイオフィルムが原因で起こります。バイオフィルムとは、細菌が固体表面や液面に付着し、菌体外マトリックスという粘着性の物質を分泌して形成する構造物です。バイオフィルム内の細菌は、薬剤や免疫系に対して耐性を示すため、治療が困難になります。

 

<歯周病の原因菌>

歯周病の原因菌は、現在、数百種ほど分かってきており、その中で一番代表的なものがP.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)と言われる菌です。他にも、T.f菌(タネレラ・フォーサイシア)やT.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)などが知られています。この3つは歯周病の悪化に関与するレッドコンプレックスという菌群で称されることもあります。

 

1 P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)

自分では動かず酸素の少ない環境を好む細菌です。棒状の形をしています。タンパク質を分解し栄養源としています。強力なタンパク質の分解酵素を分泌し、歯周組織や免疫系を破壊します。

 

2 T.f菌(タネレラ・フォーサイシア)

螺旋状の形で錐揉み運動をしています。酸素の少ない環境を好みます。多様な毒素で、歯周組織や免疫系を破壊します。

 

3 T.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)

自分で動く螺旋型をした細菌です。棒状の形をしています。歯周ポケットが深くなると急激に増えます。歯周病の症状を急激に悪化させます。

 

また当院では妊婦さんの歯科検診もよく行いますが、妊娠中は女性ホルモンの急激な増加によって、プレボテラ・インターメディアという歯周病の原因菌が増えやすくなります。妊娠中は、歯周ポケットの細菌が、血管に入り込んで体全体に広がりやすくなります。子宮や胎盤に運ばれると、胎児の成長を妨げ、早産や低体重児出産のリスクが高まりますので注意が必要です。

 

では、どのようにしてこれらの菌の増殖を抑え、歯周病を予防していくのでしょうか?

<ご家庭での予防>

歯周病は、細菌で歯茎に炎症が起こっている状態です。そのため、歯周病の予防には、毎日毎食の歯磨きが重要です。歯磨きは、毎食後や就寝前に行い、歯と歯茎の境目を歯ブラシで優しく磨きます。フロス・歯間ブラシの利用も、とても効果的です。生活習慣の見直しも大事です。喫煙・偏った食生活・ストレスなどは、お口の免疫力を低下させ細菌を増殖させてしまいます。逆に、蛋白質やビタミンCなどのコラーゲン生成に必要な栄養素を十分摂取すると、歯周組織を健康に保つことができます。緑茶など抗酸化作用の高い飲み物の摂取も有効です。

 

<歯科医院での予防>

歯科医院では細菌を見ることができる顕微鏡があります。スマートフォンのカメラに、唾液や歯垢を載せるだけで、細菌を見ることができるようにもなっています。当院ではmil-kin(ミルキン)という器機を使い、検査の時に実際にお口の中の菌を見ていただくようにしています。処置前と処置後の比較や、前回の検診時との比較をし、お口の状態を確認していただいています。

では実際にどのようにして予防処置をするのでしょうか?                                                                                                          歯科医院で行われる専門的な予防処置や治療方法についてお話します。

  

<専門的な予防処置や治療方法>

1 スケーリング、ルートプレーニング

スケーリング、ルートプレーニングは、歯周病の予防で行われます。スケーリングとは、歯についた歯垢・歯石を除去することです。スケーラーという専用の器具を使って、取り除きます。スケーラーには、手用の物や超音波式の物などがあります。ルートプレーニングとは、スケーリング後に、歯根(ルート)の表面を滑らかにすることです。ルートプレーニングでは、キュレットという器具を使って、細菌で汚染したセメント質を削り取り、歯根の表面をツルツルに磨き仕上げます。

 

2 PMTC

歯科医院で行う機械的歯面清掃(Professional Mechanical Tooth Cleaninng)のことで、歯石や歯垢の除去後、専用の機器と研磨剤を使用してホームケアでは落としきれない歯石や汚れを徹底的に清掃して、歯周病や  むし歯になりにくいように環境を整えます。スケーリング・ルートプレーニングよりも歯がツルツルになり気持ちいいですが、残念ながら保険適応ではありません。

 

3 3DS療法

3DS療法とはDental Drug Delivery  Systemの略です。PMTCを行いバイオフィルムを除去した後、抗菌剤を専用のマウスピースに入れお口に装着して、歯周病菌に直接作用させることにより除菌を行います。病原性の高い菌の定着を防げるという効果があります。これも保険適応外です。

 

4 TBI

Tooth Brushing Instructionの略で歯磨き指導のことを言います。誰しも毎日ハミガキをしているとは思いますが、正しくできているかが重要です。この正しくハミガキをするということは歯周病やむし歯を抑制するためには非常に大切なことですので、歯科衛生士による歯磨き指導は重要です。当院でも必ず行い、定期的に患者さんごとのチェックを行います。また時間が経つと自己流になりがちなので定期検診時のチェックも大事です。

 

5 歯周外科

歯周病が進行し、スケーリング、ルートプレイニングでは改善がみこみにくい場合に行われる外科手術を歯周外科といいます。フラップ手術など、歯根や歯周ポケットの汚染物質を取り除き、歯肉と歯根の密着を促す手術のことと、歯周組織再生誘導法という人工骨やコラーゲンで、失われた歯周組織を再生させる治療法に大別することができます。

6 薬物療法

薬物療法としては、抗生物質を内服する方法と、歯周ポケット内に直接投与する方法があります。

 

まとめ

歯周病の原因菌である3つの菌が揃うと歯周病が進行しやすくなります。歯周病の原因菌は、歯磨きが不十分だと歯垢・歯石として歯に付着し、そこから歯周ポケットに侵入して感染を拡大させます。そのため、正しい歯磨きや定期的なクリーニングが予防にとても重要です。継続して行うことが重要となりますので、個々にあった予防方法や習慣を身に着けられるよう当院では指導いたしております。お気軽にご相談ください。

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