皆さんは定期的に歯科医院に通っていますか?
最近予防歯科という言葉を聞く機会も増えてきました。
予防歯科とは、その名の通りむし歯や歯周病にならないよう定期的にお口のケアをしようという取り組みです。
日本ではまだまだ歯が痛くなったり、詰め物が取れたときだけ歯科医院に行くという方も少なくありません。
むし歯や歯周病を予防することはお口の健康、そして全身の健康につながることは言うまでもありません。そして、それは結果的に医療費の削減にもつながるのです。
今回は予防歯科ではどういったことをするのか。
定期健診に通うことで、医療費がどのように節約されるのかについてご説明します!
予防歯科とはどのようなことをするか
予防歯科では、歯の痛みや歯ぐきの腫れなど特に気になることがなくても患者さんが定期的に歯科医院に通院してくださいます。
このため治療ではなく、お口の中をいい状態にキープするため歯石除去やプラークバイオフィルムの除去、フッ素塗布などのケアを行います。
また歯周病が進行していないか、初期むし歯がないかなどの健診を行い、早期発見・早期治療に繋げます。
日本での歯科医療費
歯科医療費は増加傾向に
1年間の歯科医療費の総額は令和2年度で約3兆円で、年々増加傾向にあります。
一方で医療費全体に占める割合は約7%で、高齢化による医療費の増加に伴い減ってきています。
歯科受診は子どもと高齢者が多い
健康保険組合の歯科治療に関する令和元年の歯科医療費の動向の調査で年齢別の歯科受診率を調べると、5~9歳の受診率が最も高く15~19歳で低くなります。15~19歳以降は年齢階層が上がるにつれて高くなっていきます。
乳歯から永久歯への生え変わりの小学生くらいの間は歯科受診が多く、中学生以降から成人にかけてはとても低くなります。高齢になるにつれて、むし歯や歯周病による歯のトラブルが増えて、また受診が増えると考えられます。
歯科医療費で最も多いのはむし歯や入れ歯の治療
歯科治療費の中で、各年代で一番多くを占めるのが「歯冠修復及び欠損補綴」です。「歯冠修復及び欠損補綴とは、むし歯で詰め物や被せ物をする治療や何らかの原因で歯を失ってしまった時に行うブリッジや入れ歯などの治療のことです。
むし歯や歯周病でかかる医療費
むし歯の治療にかかる費用
むし歯になって、一部分の詰め物での治療であれば、保険診療での自己負担は2000~3000円前後です。しかし、一度むし歯の治療をした歯は二次むし歯のリスクも高くなります。
被せ物での治療が必要となった場合は、部位にもよりますが保険診療での自己負担は1万円前後です。
もし二次むし歯になりにくい素材や、見た目の綺麗な自費治療での素材を選択された場合、1本につき5万~10万円程度の費用が掛かります。(自由診療での治療費は各医院により違うため目安です)
歯を失ったときにかかる費用
あくまでも目安ではありますが、むし歯や歯周病で歯を失ってしまったとき、1本の欠損であれば隣と歯と橋渡しでつなぐブリッジの治療が選択されることも多いです。ブリッジの費用は1本の欠損に付き、2万円前後かかります。
自費治療の場合は、素材により数十万円の費用が掛かります。
インプラントを選択された場合は、1本40~50万円程度の金額がかかります。
しかし、治療を行ってもご自身の歯が元に戻るわけではありません。治療後も生涯メインテナンスが必要です。歯1本の価値は皆さんの想像以上にずっと高いものなのです。
歯を守るためには歯科での定期的なメインテナンスが大切です。
定期的な歯科受診は生涯医療費を下げる!
平成27年に厚生労働省の推計した生涯医療費の平均は、約2700万円です。特に70歳以上の高齢になってからの医療費が高く、生涯医療費の約半分を占めます。
トヨタ関連部品健康保険組合と豊田加茂歯科医師会の共同調査では、定期的に歯科検診に行っていると高齢になってからの生涯医療費が低く抑えられることがわかりました。
お口の健康は全身の健康にもつながっているのです。
まとめ
日本予防医学協会の調査では、日本で一般の方が考える歯1本の価値は約35万円、歯科医療従事者が考える歯1本の価値は100万円でした。ちなみに、アメリカの一般の方が考える歯1本の価値は500万円という調査結果もあります。
海外では、歯科治療に健康保険が使えない国が多く、歯科治療がとても高額になるため歯の健康に対する意識がとても高いのです。このため日頃から歯科医院にクリーニングや健診に行く方の割合が日本よりも多くなります。
日本ではまだまだトラブルがあったときだけ歯科医院に行くという方も多くいらっしゃいます。
しかし、お口の健康を保つことは医療費の削減だけでなく全身の健康にもとても大切なことです。是非予防歯科で健康なお口を手に入れて、医療費を節約しましょう!