皆さんは「シーラント」という言葉を聞いたことありますか?
あまり聞きなれない言葉という方も多いですよね。
お子さんのいる方だったら、小さい時に歯科医院で「シーラントをしましょう」と言われたことがある方などもいらっしゃると思います。
シーラントは主に、お子さんの歯のむし歯予防のために行う処置です。
特に奥歯が生えてきたら、むし歯になる前に行いたいのがシーラント。
今回はシーラントとはどのようなものなのか、そのメリットについてお伝えします!
シーラントとは
どのような治療?
奥歯には深い溝があります。この奥歯の溝には歯ブラシの毛先は届きにくく、溝の中に溜まった汚れが原因でむし歯になってしまいます。
特に生えはじめの奥歯はむし歯になりやすく進行も早いため、気がついたら大きなむし歯になっていることも少なくありません。
このため奥歯の溝をむし歯になる前に埋めてしまってむし歯を予防しよう、という治療をシーラントと呼びます。
シーラントを行うことで、4年で60%以上のむし歯予防効果が認められると報告されています。
対象年齢
シーラントは奥歯が生えてきてすぐに行うのが効果的です。
乳歯の奥歯が生えてくるのは2〜3歳、永久歯の奥歯である6歳臼歯が生えてくるのは6〜7歳のため、この時期が目安です。
また7番目の奥歯である永久歯は12〜13歳ころに生えてきます。この時期は仕上げ磨きも卒業している場合が多く、生えてきたことに気が付きにくい歯です。しかし、むし歯になりやすい歯であるため7番目の歯もシーラントが推奨されます。
シーラントの手順
① シーラントを行う歯の溝をしっかり磨いて汚れを取ります。
② 歯を乾燥させて、溝をシーラント用の薬剤(レジンやグラスアイオノマーといったむし歯治療でも使う樹脂の材料)で埋めます。
③ 樹脂の材料を光で固めます。
④ 噛み合わせが問題ないことを確認したら終了です。
シーラントは歯を削らずに溝を埋める治療です。溝の中に汚れが残った状態で埋めてしまうと、中でむし歯が進行する恐れがあります。
しっかりとクリーニングをして汚れを取ってから行うことが大切です。
ではシーラントを行うことによって何が変わるのでしょうか?
シーラントのメリット
汚れがたまりにくく、歯磨きがしやすくなる
シーラントの大きなメリットは歯磨きがしやすくなり、磨き残しが少なくなることです。奥歯の深い溝は歯ブラシの毛先が届きにくく、そこに汚れがずっと残ることでむし歯が進行してしまいます。
この溝をなだらかにすることでしっかりと歯磨きで汚れが除去できるようになり、むし歯予防効果が期待できます。
歯を削らずに行える
シーラントはご自身の歯を削らずに行える治療です。
一度歯を削ると元に戻すことはできず、穴を埋めてもその隙間から、再度むし歯になりやすくなります。
大切な歯を守っていくためにとても有効な治療です。
痛みがない
シーラント治療は歯を削らないため、痛みはありません。このためお子さんでも行いやすい治療です。
しかし処置中はお口を大きく開けている必要があるため、治療前にクリーニングなどで歯医者さんに慣れてもらえるといいですね。
フッ化物の作用によるむし歯予防効果が期待できる
シーラントに使われる樹脂の中には、むし歯予防に効果的なフッ化物が含まれています。フッ化物には歯を強くし、むし歯の原因となる菌の働きを弱めてくれる作用があります。このためシーラントを行うことで、フッ化物の作用で歯がむし歯になりにくくなるのです。しかしシーラントの種類も様々で、シーラントに含まれるフッ素は徐々に放出され無くなっていきます。 当院で使用しているシーラント材は、フッ素入りの歯磨き粉やフッ素ジェル、歯科医院で行うフッ素塗布によりシーラントの中にフッ素をリチャージできる機能を持ったものを使用していますので、よりフッ素の効果が期待できます。
シーラントの注意点
絶対にむし歯にならないわけではない
シーラントを行っても、必ずむし歯にならないわけではありません。シーラントの周りに汚れがたまったままの状態が続くとシーラントの周りからむし歯になることもあります。また、シーラントは歯と歯の間のむし歯を防ぐことはできません。奥歯の歯と歯の間は非常にむし歯になりやすく、むし歯になっても気が付きにくいところです。シーラントを行っても、気を抜かず歯磨きしましょう。
剥がれてくることもある
シーラントは歯を削らずに溝を埋める治療です。このため、時間が経つと剥がれてくることもあります。定期的に歯科検診でチェックしてもらいましょう。
まとめ
シーラントはお子さんの奥歯のむし歯予防にとても効果的な治療です。生えはじめの歯は、まだ歯の表面が柔らかいため、むし歯になりやすく進行しやすい状態です。むし歯になる前にシーラント治療を行うことで、むし歯のリスクを減らすことができます。
しかしシーラントを行ったら安心、というわけではありません。むし歯予防には日頃の食習慣や歯磨き習慣、そして歯科医院での定期健診がとても大切です。
ぜひ定期的に歯科医院でお口の状態をチェックしましょう!