口内炎だと思っていたら実はがんだった!
そんな話を聞いたことはありませんか?
口の中のがん、口腔がんはがん全体の約1-2%を占めると言われています。
珍しいがんのように感じますが、直接目で確認できるはずなのに早期発見・治療がなかなか難しいのが現状で、がんになる率も死亡する率もともに年々増加傾向にあります。
口は、食事をしたりコミュニケーションをとったり、人間が豊かに生きるために大切な身体の一部分です。
その大切な口を「口腔がん」から守るため、自分で何かできることがあるといいですよね。
今回は口腔がんの原因や予防法についてお話していきます。
口腔がんとは
口の中にできるがんを総称して「口腔がん」と呼び、場所により呼び名が変わります。
舌にできる舌がん、歯ぐきにできる歯肉がん、頬の内側にできる頬粘膜がん、舌の下にできる口腔底がん、上あごにできる口蓋がん、唇にできる口唇がんなどがあります。
これらのなかで、もっとも多いのは舌がんで、次に多いのが歯肉がんです。
口腔がんの原因
口腔がんのリスクとなるものはいくつかあります。一つ一つ見ていきましょう。
喫煙
喫煙(噛みタバコ含む)は口腔がんの最大のリスクファクターです。
タバコには発がん性物質が含まれています。喫煙者の口腔がん発生率は非喫煙者に比べ約7倍も高く、死亡率は約4倍も高いという報告もあります。
飲酒
喫煙に次ぐリスクファクターとなるのが飲酒です。
アルコールは体内で発がん性のあるアセトアルデヒドに代謝されます。また、飲酒が免疫機能を抑制したり食事が偏り栄養不足につながったりすることもリスクを高めると言われています。毎日たばこを吸い、さらにお酒も飲む方は最も危険です。
慢性的な刺激
合わない入れ歯や、むし歯などで欠けた歯などによる口の中の粘膜への慢性的な刺激や傷もがんのリスクを高める可能性があります。
口の中の清掃不良
口の中が清潔に保たれず、歯周病による慢性的な炎症があると、それががんのリスクとなる可能性があります。
栄養不足
特定の食べ物ががんのリスクを上げたり下げたりということは証明されていませんが、栄養不足により免疫力が低下したりと、がんのリスクとなる可能性があります。
ウイルス感染
ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると、特定のHPV(主にHPV16)は、口腔がんのリスクが上がるとされています。
では、これらのことを避けることにより、がんのリスクを避けることができるのでしょうか。
口腔がんを予防するには
口腔がんを予防するために、口腔がんのリスクファクターを避けることが大切です。
日ごろから気をつけることについてお話します。
たばこ、お酒を控える
喫煙、飲酒は口腔がんの最大のリスクファクターです。これらを控えることが大切です。
バランスの良い食生活を心がける
栄養不足は口腔がんのリスクファクターになります。バランスよく食べ、健康な食習慣を心がけましょう。
口の中を清潔に保つ
しっかり歯みがきを行って汚れを取ることで歯周病を防ぎ、口の中に炎症が起こらないようにしておきましょう。慢性的な炎症は口腔がんのリスクになります。
歯科医院で定期健診を受ける
口の中のことは歯科医院で診てもらうのが一番です。
では歯科医院ではどのようなことを診てもらえばよいのでしょうか。
・治療を受ける
合わない入れ歯、欠けたかぶせ物、治療していないむし歯があれば放置せず、治療を受けることが大切です。
これらを放置して口の中の粘膜を傷つけていると口腔がんが発生しやすくなります。早めに発見し、治療を受けることが大切です。
・専門的なクリーニング(PMTC)を受ける
自宅での歯みがきではどうしてもみがき残しがでてしまいます。歯周病も気づかず進行することが多いです。
お家のセルフケアでは足りない部分をプロフェッショナルケアで補い、お口の中の炎症を抑え清潔に保つことが大切です。
・早期発見
口腔がんには「前がん病変」と言い、がんではないけれどがんの前触れのような変化が現れることがあります。
経過観察のみでがんにはならない場合もありますが、症状が無ければ発見できないかもしれません。
口の中をしっかり隅々みてもらい、小さな変化も見逃さないようにしましょう。
まとめ
お口は消化管の入口として噛むことや飲み込むことなど食事に関わっているだけでなく、呼吸を支えたりもしています。さらに声を発しておしゃべりしたり、コミュニケーションの側面でも重要な役割があるため、お口の健康は豊かな社会生活を送る上で極めて大切です。
がんが一旦進行してしまうと日常に重大な障害をきたすことになりかねません。
定期的に歯科医院に通い、専門的なクリーニングを受けることで口腔がんを予防し、早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。